所要額:683億円
米・畑作物の収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策)は、農家拠出を伴う経営に着目したセーフティネットであり、米及び畑作物の農業収入全体の減少による影響を緩和するための制度です。
交付対象者
認定農業者、集落営農、認定新規就農者
- 規模要件はありません
- 交付対象者の要件については、以下のページを参照してください。
対象農産物
米、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょです。
- 麦芽の原料として使用される麦(ビール用等)、黒大豆、種子用として生産されるものなどは対象となりません。
- てん菜、でん粉原料用ばれいしょは、北海道で生産され、交付対象要件を満たすものが対象です。
ナラシ対策の仕組み
農業者の米、麦、大豆等の当年産の販売収入の合計(当年産収入額)が、過去の平均収入(標準的収入額)を下回った場合に、その差額の9割を補てんします。
補てん額 = (標準的収入額 − 当年産収入額) × 0.9
補てんの財源は、農業者と国が1対3の割合で負担します。
このため、補てんを受けるには、農業者からの積立金の拠出が必要となります。
補てん後の積立金の残額は、翌年産へ繰り越されるため、掛け捨てとはなりません。

10a当たり標準的収入額とは
直近5か年の収入額のうち、最高年と最低年を除いた3か年の平均収入額で、通常年に想定される収入額として、品目ごと、地域ごとに計算します。
各年産の収入額は、米であれば、地域の産地品種銘柄のうち、数量の多い上位3銘柄平均販売価格に、地域の実単収を乗じて算出します。
10a当たり当年産収入額とは
当年産の収入額として、品目ごと、地域ごとに計算します。
当年産の収入額は、米であれば、当年産の地域の産地品種銘柄のうち、数量の多い上位3銘柄平均販売価格に、当年産の地域の実単収を乗じて算出します。
収入保険・農業共済との関係
収入保険
自然災害や価格低下をはじめ、農業者ごとの収入の減少を広く補償します。
青色申告を行っている農業者(個人・法人)が対象です。
または
農業共済
自然災害等による収穫量の減少を補償します。
ナラシ対策
価格が下落した際などに、収入の減少を補てんします。
収入保険と、農業共済・ナラシ対策などの類似制度は、いずれかを選択して加入することができます(重複加入はできません)。
ナラシ対策の補てん金は農業共済に加入していることを前提に減額調整されるので、ナラシ対策に加入する場合は農業共済とのセット加入をお勧めします。
収入保険についての詳細は、以下のページを参照してください。
令和3年産ナラシ対策の加入から補てん金支払までの流れ
加入申請(積立て申出)
令和4年4月1日〜6月30日
農業者は、交付申請書(様式第1号)の裏面(対策の加入申請・交付手続き参照)に、令和4年産の米、麦、大豆等の生産予定面積等を記入し、地域農業再生協議会又は地方農政局等に提出してください。
積立金の納付
令和4年5月下旬〜8月31日
農業者の積立額は、国が生産予定面積等に基づいて農業者ごとに算定し、通知します。
農業者は、国からの通知に基づき、標準的収入額から10%の収入減少に対応する積立額(10%コース)又は20%の収入減少に対応する積立額(20%コース)のいずれかを選んで積立金を納付してください。
- 令和4年産から、積立金の納付期限は8月31日となります。
- 20%コースを選択した場合で前年産からの繰越しがある場合は、前年産からの繰越分を差し引いた額を納付します。
農業者の積立額(20%コースを選択した場合)
=積立基準収入額 (品目ごとの「農業者ごとの生産予定面積×地域ごとの10a当たり標準的収入額」の合計) × 4.5% (20% × 9割 × 1/4)
農業者1:国3の割合で補てんするので、補てん原資の1/4が農業者の負担(積立額)となります。
補てん金の交付申請
令和5年4月1日〜5月1日
補てん金は、収穫した翌年の3月31日までの出荷・販売実績(生産実績数量)に基づき、支払われます。
農業者は、5月1日までに、ナラシの交付申請書(様式第10-1号)とともに生産実績数量の証明書類を地方農政局等に提出してください。
積立額の確定
令和5年5月下旬〜6月頃
積立額は、国が交付申請書の生産実績数量を地域の令和4年産単収で換算した面積(面積換算値)に基づいて再計算し、確定します。
再計算した積立額が加入時の積立額より少ない場合は、加入時の積立額との差額を返納され、多い場合は加入時の積立額が確定した積立額となります。
補てん金の算定・支払
令和5年5月下旬〜6月頃
補てん金の額は、国が農業者ごとの面積換算値に基づき算定し、支払います。
地域の令和4年産単収が平年単収の9割を下回った場合は、農業共済制度に加入していることを前提に、農業共済制度が発動したとみなし、補てん額から共済金相当額を控除します。
補てん金の額
=(標準的収入額(品目ごとの「農業者の面積換算値×地域の10a当たり標準的収入額」の合計)
− 当年産収入額(品目ごとの「農業者の面積換算値×地域の10a当たり当年産収入額」の合計))
× 9割 − 共済金相当額
積立額および補てん額の算定例(20%コースを選択した場合)
積立額(加入時)の算定例
生産予定面積が米6ha、大豆4haのAさんの場合

Aさんは373,500円を積み立てます。
前年産からの繰越しがある場合は、その繰越分を差し引いた額となります。
積立額(確定)の算定例
生産実績数量が米25,000kg、大豆8,000kgのAさんの場合

Aさんに56,250円が返納されます。
(373,500円 – 317,250円 = 56,250円)
補てん額の算定例



共済金相当額の控除はなかったものとして算定しています。
Aさんに756,000円が支払われます。
補てんに充てられなかった積立金の残額(128,250円)は、翌年産の積立金の一部に充当されます。
ナラシ対策の補てん対象(生産実績数量)
令和4年産から、ナラシ対策の補てん対象となる米は、需要に応じた米生産を後押しする観点から、農業者が事前に集出荷業者(JA等)と出荷契約を結んだもの等となります。
このため、米を生産する予定の農業者は、加入申請時(生産年の6月30日まで)に、「出荷・販売契約数量等報告書」の提出が新たに必要となります。
米
農産物検査3等以上のもの又は当該等級に相当するもの(種子は除く)で、主食用として収穫した翌年の3月31日までに
- 農業者がJAや集荷業者に販売、又は販売を委託して出荷したもの
- 農業者又は農業者から委託を受けた者が、消費者等に販売することとしたもの
が対象です。
麦・大豆等
ゲタ対策(数量払)の交付対象数量となったものが対象です。
「出荷・販売契約数量等報告書」について
農業者ごとに、以下(1)、(2)の契約・計画数量を整理・集計したもの(生産年6月30日時点)。
JA等の集出荷業者へ出荷・販売する米
取引先ごとの契約数量
JA等の集出荷業者以外へ直接販売する米
販売チャネル(①卸・小売、②中食・外食、③消費者、④その他)ごとの計画数量及び前年実績

- (1)の契約数量の確認資料として、各出荷・販売先の出荷契約書の写し等を添付してください。
- (1)の契約数量と(2)の計画数量の合計数量が、米の生産予定面積から勘案して過大となっているように見受けられる場合等には、個別に事情をお聞きすることがあります。
出荷・販売実績(生産実績数量)の確認資料
収穫した翌年の3月31日までの出荷・販売実績(生産実績数量)は、農産物検査によらない方法により数量確認した場合も、交付対象となります。
この場合、米については、農産物検査結果通知書に代え、主食用として販売された米の数量等を確認できる書類を追加で提出していただくことが必要です。
(麦、大豆等の品目については、ゲタ対策のページを参照してください。)
農産物検査を受検した米
- 出荷・販売した数量を確認できる書類…販売伝票等
- 農産物検査結果通知書…3等以上
それ以外の米
- 出荷・販売した数量を確認できる書類…販売伝票等
- 販売先において主食用途とすることが決定していることが確認できる書類…販売先の確約書又は契約書等
- 1.70mm以上のふるい目で調製した米穀を販売したことが確認できる書類…1.70mm以上のふるい目で調製したことを明記した販売伝票等
- 水分含有率16.0%以下の米穀を販売したことが確認できる書類…水分含有率16.0%以下であることを明記した販売伝票等(醸造用玄米の水分含有率は都道府県ごとに設定)
- 産地、品種、産年が確認できる書類…種子の購入伝票、栽培記録、販売伝票等(品種は交付金の算定上、区分を設定している道県に限る)
これらの確認書類は、決して捨てずに、交付申請を行った年度の翌年度から5年間大切に保管してください。
出荷・販売実績が加入申請時の契約・計画数量と異なる場合(当面の取扱い)
JA等の集出荷業者へ出荷・販売する米
原則、取引先ごとに6月30日時点の契約数量がナラシ対策で補てん対象とする生産実績数量の上限となります。
ただし、契約締結後に、豊作等により契約者間で数量の上乗せ更新を行い、当該数量を書面により確認できる場合は、更新後の数量が上限となります。
JA等の集出荷業者以外へ直接販売する米
実需と結びついているため、6月30日時点の計画数量の水準にかかわらず、実際の販売数量がナラシ対策で補てん対象とする生産実績数量となります。