Ⅲ 需要に応じた生産・販売

生産者や集荷業者・団体が、需要に応じて、どのような米をいくら生産・販売するかなどを自ら決められるようにすることで、経営の自由度の拡大を目指します。

米政策の基本的な考え方

平成30年産から、行政による生産数量目標の配分を廃止し、生産者自らの経営判断により需要に応じた生産・販売が行われるようにしました。

農林水産省としては、

  • 事前契約・複数年契約による安定取引の推進
  • 麦・大豆や野菜・果樹、輸出用米、加工用米、米粉用米、飼料用米など需要のある作物や主食用米以外の米への転換に対する支援による水田フル活用
  • 需給見通し等について、各県の地域再生協議会等を集めた全国会議の回数を増やしているなど、一層こまめできめ細かな情報提供

などにより、産地・生産者が、消費者・実需者のニーズを的確につかみ、どのような水田農業を進めていくのかしっかりと判断できるような環境整備に努めてまいります。

全国の需給見通し

米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針

令和2年11月5日公表

令和3/4年の需給見通しについて、令和3年産の主食用米等生産量は693万トンと設定されました。

令和2/3年及び令和3/4年の主食用米等の需給見通し

(単位:万トン)

令和2/3年

令和2年6月末民間在庫量
A
200
(確定値)
令和2年産主食用米等生産量
B
723
(10/15現在 予想収穫量)
令和2/3年主食用米等供給量計
C=A+B
923
令和2/3年主食用米等需要量
D
711〜716
令和3年6月末民間在庫量
E=C−D
207〜212

令和3/4年

令和3年6月末民間在庫量
E
207〜212
令和3年産主食用米等生産量
F
693
令和3/4年主食用米等供給量計
G=E+F
900〜905
令和3/4年主食用米等需要量
H
705
令和4年6月末民間在庫量
I=G−H
195〜200
(参考) 相対取引価格と民間在庫量の推移

(円/60kg)

相対取引価格と民間在庫量の推移

相対取引価格は、当該年産の出回りから翌年10月(元年産は令和2年8月、2年産は令和2年11月)までの通年平均価格であり、運賃、包装代、消費税相当額が含まれている。

事前契約の取組の推進

今こそ事前契約が大切です

計画的な生産を行う重要性が高まっています。

  • 主食用米の国内消費量の減少は、人口減少により今後も続きます。
  • 単純に前年と同じ量を生産するだけでは、市場で「売れ残り」が発生します。
  • こうした状況下で産地が取り組むべきことは、あらかじめ販路を確保して売れ残りを発生させないことです。

消費者が求めるニーズをつかみましょう

主食用米の消費量が減少している一方、消費者ニーズの多様化が進んでいます。

家庭内消費から中食・外食での消費へ
グラフ
消費者が精米購入時に重視するポイントの例
  • 美味しさで有名になっている産地や品種
  • 減農薬などこだわりのある栽培方法
  • お得感のある価格
  • 食べ比べがしやすい少量包装

多様化するニーズの中で「売れ残り」を発生させないために産地では、各流通段階の事業者の意向を適切にキャッチし、生産に反映することが大切です。

安定取引を可能とする有効な手法が事前契約です
産地

生産する米を確実に販売し、生産者の経営安定を図りたい

卸売業者・実需者

多様なニーズに対応できる米を安定的に 調達、消費者に提供・販売したい

全国の事前契約取組状況

近年では事前契約の取組が全国的にも広がっており、各産地において安定取引に向けた取組が着々と進められています。

近年の事前契約数量の推移

資料:農林水産省「米穀の取引に関する報告」(年間取引数量5,000トン以上の集出荷業者)

近年の事前契約数量の推移

需給・価格情報等に関する一層きめ細かな情報提供

各産地において、翌年産の主食用米等の作付を的確に判断できるよう、需給・価格、販売進捗・在庫情報等を取りまとめた「米に関するマンスリーレポート」を毎月上旬に発行

米に関するマンスリーレポート

「米に関するマンスリーレポート」目次

  • 特集記事
  • Ⅰ 米の在庫情報
  • Ⅱ 米の契約・販売情報
  • Ⅲ 米の価格情報
  • Ⅳ 消費の動向
  • Ⅴ 輸出入の動向
  • Ⅵ 主食用米以外の動向
  • Ⅶ 作柄概況

相対取引価格・数量

全国118産地品種銘柄の相対取引価格・数量を調査・公表

相対取引価格・数量

価格については、相対取引価格のほか、スポット取引価格、小売価格(POSデータ)を掲載

産地別⺠間在庫量の推移

各産地別、出荷・販売段階別の在庫量を、毎月調査・公表

産地別民間在庫量の推移
仕向先別の販売価格・数量

米の販売事業者に対し、「小売事業者」「中食・外食事 業者等」別の精米の販売価格・数量を、毎月調査・公表

販売数量の動向(対前年比)

販売数量の動向

販売価格の動向(前年同月比)

販売価格の動向

米穀周年供給・需要拡大支援事業で産地の自主的な取組を支援

需要に応じた生産が行われたとしても、豊作等により需給緩和が生じる可能性があることから、産地ごとにあらかじめ生産者等が積立てを行った上で、自主的に長期計画的な販売や輸出など他用途への販売を行う場合に支援する米穀周年供給・需要拡大支援事業を措置しています。

また、業務用米及び輸出用米への安定取引の拡大に向けて、産地と中食・外食の実需者等とのマッチングを推進しています。

全国事業

  • 産地と中食・外食事業者等との安定取引に向けたマッチングの取組を支援(定額)
  • 民間団体が行う業務用米及び輸出用米の生産・流通の拡大に向けたセミナー、展示商談会を支援

→生産者と実需者の連携(マッチング)促進による安定供給の拡大

産地

産地

コメ海外市場拡大戦略プロジェクトでコメ輸出拡大を目指します

国内では、コメの消費減に加えて、2010年をピークに人口減少の局面に入っていることから、年間需要量は毎年8〜10万トンずつ減少してきていますが、海外に目を転じれば、日本食レストラン数は増加傾向にあるなど、日本食のマーケットは世界で広がりつつあります。

このような中、コメについても新たな海外需要開拓を図っていくことが喫緊の課題となっています。

日本の総人口推移と将来推計
日本の総人口推移と将来推計
コメの一人当たり消費量
コメの一人当たり消費量
世界の日本食レストラン数
世界の日本食レストラン数
地域平成29年令和元年
欧州約12,200約12,200
アフリカ約350約500
ロシア約2,400約2,600
中東約1,000約1,000
アジア約69,300約101,000
オセアニア約2,400約3,400
北米約25,300約29,400
中南米約4,600約6,100

このような中、輸出事業者による需要開拓の結果、近年、コメの輸出は大幅に増加してきました。中には、千トン規模で日本産米を取り扱うチェーン店も出てきています。

コメの輸出実績
コメの輸出実績
多量に日本産米を使用している外食チェーンの例
華御結(香港)
華御結(香港)
元気寿司(香港)
元気寿司(香港)

農林水産省では、平成29年9月に「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」を立ち上げ、戦略的に輸出に取り組む関係者を「戦略的輸出事業者」「戦略的輸出基地(産地)」として特定し、連携して取り組む海外需要開拓のための具体的な取組を後押ししています。

コメ海外市場拡大戦略プロジェクトについて

コメ海外市場拡大戦略プロジェクト
輸出事業者による取組事例1 ロシアの現地系スーパーマーケットでの試食販促

ロシアのスーパーマーケットが販売する寿司向けに日本産米を供給。
惣菜スタッフに炊飯方法、握り方等も指導し、品質の維持も図ったほか、輸出事業者が行う試食プロモーションには産地が同行、海外の実需について輸出事業者と認識共有が図られたことにより生産意欲の向上にも寄与。
プロモーションの実施により、同スーパーにおける日本産米の使用量は増加。日本産米の輸出は、60トン(2019年)→150〜60トン(2020年)に増加見込み。

ロシアのスーパー
ロシアのスーパー
輸出事業者による取組事例2 産地と連携した需要開拓

茨城県の生産者が輸出用米の作付→集荷→輸出まで自ら取り組むべく「茨城県産米輸出推進協議会」及び輸出商社の「百笑市場」を設立。多収品種の導入により販売価格の引き下げと農家収益の確保の両立を図っている。当初、協議会の参加人数は8人であったが、2020年には76人まで拡大。輸出用米の供給量は970トン(2020年)まで増加し、将来は3,000トン以上の需要に対応する見通し。

輸出用米の生産数

輸出用米の生産数

アメリカでの生産者同行試食販売の様子

アメリカの試食会
アメリカの試食会