飼料用米ガイド 〜多収性品種の導入にあたって〜

多収性品種の導入にあたって

飼料用米生産において農業者の所得を確保していくためには、単位面積当たりの収量を増やしていくことが重要であり、そのためには多収性品種の導入が有効です。以下、品種選定と導入にあたってのポイントを解説します。

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品種選定と作付計画の策定

飼料用米用の多収性品種は、主食用品種と比較して生育期間が長い晩生品種が多いのですが、早生や中生の品種もありますので、下記の特性表を参照し、田植えや稲刈りなどの作業分散等も考慮して、品種選定をしてください。その上で、以下に注意して作付計画を立てましょう。

  • 十分な登熟期間が確保できるように、地域の用水期間や気象条件などを考慮して品種を選定し、田植え時期などを決める。
  • 登熟に必要な温度を確保するにために、9月上旬までには出穂するように計画を立てる。

多収性品種

飼料用・加工用米専用品種

月の光(知事特認品種)、いわいだわら、えみゆたか、オオナリ、きたげんき、北瑞穂、クサホナミ、たちじょうぶ、ふくのこ、ふくひびき、べこあおば、べこごのみ、北陸193号、ホシアオバ、ミズホチカラ、みなちから、モグモグあおば、もちだわら、モミロマン、夢あおば、笑みたわわ、亜細亜のかおり

主食用品種

あきだわら、あさひの夢

主な多収性品種などの特性

品種名 試験場所 早晩性 移植期
(月.日)
出穂期
(月.日)
成熟期
(月.日)
稈長
(cm)
粗玄米重
(kg/a)
乾物収量(風乾重) 玄米千粒重
(g)
籾重
(kg/a)
わら重
(kg/a)
夢あおば 作物研究室 早生 5.27 8.07 9.18 80 67.6 86.1 102.9 25.8
あさひの夢 作物研究室 晩生 5.8 8.07 9.15 69 23.0
夢あおば 水田利用研究室 早生 4.24 7.17 9.06 86 90.1 111.6 99.6 23.9
夢あおば 水田利用研究室 早生 5.22 8.01 9.24 91 78.3 25.2
オオナリ 水田利用研究室 中生 5.21 8.09 10.09 83 88.9 22.3
北陸193号 水田利用研究室 中生 5.02 8.09 9.20 85 90.9 115.5 108.5 23.0
北陸193号 水田利用研究室 中生 5.21 8.14 10.17 92 89.1 23.6
あさひの夢 水田利用研究室 晩生 4.26 8.1 9.12 72 22.1
あきだわら 水田利用研究室 晩生 5.21 8.13 10.10 88 74.6 21.8
月の光 水田利用研究室 晩生 5.22 8.16 10.03 87 64.6 22.6

1.農業総合センター農業研究所作物研究室(水戸市上国井町)、2008年〜2009年、2011〜2012年成績による(うち、2年の平均値)。
2.農業総合センター農業研究所水田利用研究室(龍ケ崎市大徳町)、2008年〜2012年、2014年〜2017年成績による(うち、2〜4年の平均値)。
3.あさひの夢についてはいずれも、2016年〜2020年の成績による。

主食用米との作期分散

主食用米と飼料用米を作付する場合には、以下の点に配慮して作期を決めることが重要です。

  • 主食用米の収穫や乾燥・調製作業などが重ならないようにする。
  • 主食用米の作期を基準に、作期がその前後や間にずれるように飼料用米の早生・中生・晩生の品種を組み合わせる。
  • 作期の分散を図るには、移植時期の調整や直播栽培などの栽培方法を上手に組み合わせることによっても可能である。ただし、遅く植えすぎると倒れやすくなったり、成熟までの生育期間がとれなくなったりするので注意する。

用水の確保

晩生品種の場合、田植えをなるべく早く行い、出穂後の通水期間を確保することが多収のポイントとなります。
送水の停止時期については、事前に土地改良区等に確認し、用水が早期に止まる場合には直前に排水をせき止め、できるだけ水を溜めて用水の確保に努めてください。

主食用米と組み合わせた飼料用米の作型例

主食用米と組み合わせた飼料用米の作型例
移植時期
  • 早生品種…主食用品種の後に
  • 中生品種…主食用品種の前後に
  • 晩生品種…主食用品種の前に
収穫時期
  • 主食用品種の収穫・乾燥終了後に

種子の確保

令和4年度現在、茨城県では「夢あおば」「月の光」「あさひの夢」「あきだわら」の種子については、種子生産計画に基づき、県内生産および他県への委託生産により確保・供給しています。
それ以外の品種は(一社)日本草地畜産種子協会等から購入が可能です。
(但し、人気品種では売り切れの場合もあります)
また、(一社)日本草地畜産種子協会で入手できない品種については、農研機構のホームページから入手先を検索することができます。
種子の購入にあたっては、最寄りのJAなどにご相談ください。

コンタミ(異品種混入)の防止

主食用米への飼料用米の混入を防ぐためには、以下の点に注意しましょう。

  • 収穫時期を主食用米とずらすなど、作付計画を作成するとともに、ほ場の準備から収穫、乾燥・調製まで、さまざまな段階で混入防止対策を組み合わせる(図参照)。
  • 作業後にコンバインや乾燥機等の清掃を徹底するなど、機械・施設の管理に注意する。

なお、コンタミの発生が心配される場合は、主食用、飼料用両方の用途で出荷できる、多収性の主食用品種(「あきだわら」「あさひの夢」など)の導入を検討下さい。

各段階におけるコンタミ防止対策

ほ場の準備
  • ほ場の団地化、収穫を主食用米とずらす作付計画を設定する。
  • 前年と異なる品種を栽培する場合は移植栽培にする。
    (特に多収性専用品種から主食用米に代わる際は注意する)
耕起・代かき前
  • 発生した漏生イネを鍬き込む。
代かき後から移植前
  • 代かきから田植えまでの期間は7日以内とする。
移植後
  • 発生する漏生イネを防除するため、移植直後に初期防除剤を散布する。
生育中
  • 株と株の間が見えるうちに栽培品種以外の漏生イネを抜き取る。
  • 出穂後に形質の異なる穂の株を抜き取る。
収穫
  • 収穫作業を飼料用米とに分散する。
  • 品種ごとに収穫する。
  • 品種の切り替え時にはコンバイン等の機械の清掃を徹底して行う。
乾燥・調製
  • 品種ごとに乾燥・調製する。
  • 品種の切り替え時には乾燥機・調製用機械の清掃を徹底して行う。
機械等格納時
  • 翌年に向けてコンバイン等の格納時に徹底して清掃を行い、残留モミを取り除く。