米の需給に関する情報

水田における需要に応じた生産・販売を進めましょう

2022年5月26日

米をめぐる情勢

主食用米の需要量は、人口減少や食の多様化等により、毎年約10万トンずつ減少しています。
ここ数年、新型コロナウイルス感染症の拡大による中食・外食需要の減少も加わり、6月末民間在庫量は適正とされる200万トンを大幅に上回って推移しています。
令和4年6月末の民間在庫量の見通しは、213~217万トンと危機的な水準であり、米価の安定のためには、主食用米の更なる作付減少が必要です。
米価(全国平均)は、前年と比較して1,500円/60kg程度下落し、依然として低い価格で推移しています。

相対取引価格グラフ

需要に応じた生産・販売の必要性

主食用米だけを作付けした場合は、米価が下落した際に、経営に与える影響が大きくなってしまうため、需要が見込める品目を経営に取り入れることが重要です。
主食用米は年々需要量が減少していますが、麦・大豆や園芸品目(野菜・果樹など)、WCS用稲、飼料用とうもろこしなどは、需要量の増加が期待されています。

主食用米等の需給見通し

国は、令和4年産米の適正生産量を675万トンと見込んでいます。令和3年産米と比較して21万トン(面積で3.9万ha)の削減が必要であり、これを実現することによって米価の安定が図られるとしています。

R3/R4年
令和3年6月末民間在庫量 A 218
3年産主食用米等生産量 B 701
3/4年主食用米等供給量計 C=A+B 919
3/4年主食用米等需要量 D 702〜706
4年6月末民間在庫量 E=C-D 213〜217
R4/R5年
令和4年6月末民間在庫量 E 213〜217
4年産主食用米等生産量 F 675
4/5年主食用米等供給量計 G=E+F 888〜892
4/5年主食用米等需要量 H 692
5年6月末民間在庫量 I=G-H 196〜200

転換作物への支援策

需要に応じた生産・販売を進めるため、国では、主食用米から麦・大豆、新規需要米(飼料用米など)や加工用米等への作付転換を支援しています。

戦略作物助成(国)
対象作物 交付単価
麦・大豆・飼料作物 35,000円/10a
WCS用稲 80,000円/10a
加工用米 20,000円/10a
飼料用米・米粉用米 収量に応じ、55,000円〜105,000円/10a
産地交付金(国)
取組内容 配分単価
新市場開拓用米・そば・なたねの作付(基幹作のみ対象) 20,000円/10a
飼料用米・米粉用米の複数年契約(令和2年・3年からの継続分のみ対象) 6,000円/10a
産地交付金(県設定分)
取組内容 配分単価
新規需要米等のコスト低減等の取組 5,000円以内/10a
加工用米の複数年契約(3年以上) 6,000円以内/10a
園芸作物等への転換の取組(取組初年度に限る) 25,000円以内/10a

※この他にも、各市町村で助成措置を設けている場合があります。

 

 

見出し1a
見出し1a_02

国産需要のある麦・大豆の生産に取り組みましょう

国産麦・大豆をめぐる情勢

麦・大豆ともに今後も国産需要の増加が見込まれています

令和2年度の小麦の自給率は15%に留まっていますが、パン用・中華めん用小麦粉の消費量が伸びています。
品種改良などによって、実需者が求める品質を実現できるようになり、パン用・中華めん用を中心に、国産の小麦粉に切替える動きが増えています。

大豆

令和2年度の大豆の自給率は21%ですが、国産大豆の需要量は中長期的にみると増加傾向にあります。国が行った実需者へのアンケート調査では、大豆ミートなど新たな需要が創造されたこともあり、今後5年間の大豆使用量は増加する見込みです。

水田で麦、大豆を作付けする場合に受けられる交付金

麦・大豆いずれも数量・品質に応じて交付金が増額することから、生産性を向上することで、主食用米を上回る所得を期待することができます

水田活用の直接支払交付金(戦略作物助成)
  • 対象:麦、大豆(交付対象水田における基幹作のみ)
  • 交付単価:35,000円/10a
畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)

※認定農業者、集落営農、認定新規就農者のいずれかの担い手が要件

数量払(収量・品質が向上するほど増額)

  • 生産量と品質に応じて交付
  • 交付単価は品質に応じて設定

面積払(標準的な生産費相当額を先払い)

  • 当年産の作付面積に応じて、数量払の先払いとして交付(交付単価:20,000円/10a)
  • 対象作物の当年産の作付が確認でき、数量払の交付申請を行う農業者が対象
1グラフ
対象作物 平均的な交付単価
小麦 6,710円/60kg
大豆 9,930円/60kg

主食用米と麦、大豆の収入試算

1グラフ2
  • 主食用米の収入はR3概算金(9,700円/60kg)、R2概算金(12,000円/60kg)、標準収量(525kg/10a)より算出
  • 小麦の収入は「さとのそら」基準価格および平均反収(308kg/10a)より算出
  • 大豆の収入は「里のほほえみ」平均単価および平均反収(107kg/10a)より算出
  • 所得は収入額から生産費(農林水産省「農産物生産費統計」)を差し引いて算出

 

 

高収益作物を導入して、儲かる農業の実現を1
高収益作物を導入して、儲かる農業の実現を2

高収益作物を導入して、儲かる農業の実現を

高収益作物の需給動向

事前にニーズ(品目・品質)を把握しておくことが重要です。加工・業務用として、実需者と結びついて生産することで安定した収入確保につながります

野菜

品目によって需給状況は異なりますが、加工、業務用の割合が増加しており、需要量全体の約6割を占めています。
このうち、約3割は海外からの輸入に頼っていることから、国産野菜への切替が期待されています。

果樹

農家の高齢化等により、栽培面積や生産量は減少しています。
生産量が減少する一方で販売価格は上昇し、産出額も増加しており、今後も需要に応える産地の拡大が求められています。

高収益作物を導入した生産者の声

  • 新たな品目を導入することで水稲と作業分散ができた!
  • 水稲専作の場合、米価や政策の影響を受けてしまうが、高収益作物を導入することで収入が安定する!

一方、導入には不安の声も…

  • 排水性が悪い水田で生産できるか不安…
  • 実需者が求める品目や品質が分からない…
2図

高収益作物の導入で受けられる支援(水田活用の直接支払交付金)

最大で35万円/10a

  • 園芸作物等転換加算:25,000円以内/10a
  • 高収益作物定着促進支援:100,000円〜150,000円/10a
  • 【高収益作物の導入・拡大面積】×20,000円(あるいは30,000円※1)/10a×5年間
    ※1加工・業務用野菜等の場合
    ※2高収益化推進計画を作成し、3の畑地化支援を受けることが要件

  • 高収益作物畑地化支援※3

    【高収益作物の作付面積】×175,000円/10a→要件は次ページを参照
    ※3高収益化推進計画の作成はせずに、単独で支援を受けることが可能

高収益作物の収入試算

主食用米よりも高い所得が期待できます

品目 販売収入(円/10a) 経営費(円/10a) 所得(円/10a) 労働時間(時間/10a)
レンコン 736,000 408,000 328,000+α 218
カンショ(ほしいも) 556,000 351,000 205,000+α 175
キャベツ(加工用) 564,000 486,000 78,000+α 56
主食用米(R2コシヒカリ) 105,000 83,445 21,555 18

※令和2年度の現地事例調査を基に算出。交付金の対象となった場合(+α)が加算されます。

 

 

畑地化支援や補助事業を活用しましょう1
畑地化支援や補助事業を活用しましょう2

畑地化支援や補助事業を活用しましょう

水稲以外の品目による取組を支援(レンコンのような湛水性の品目も対象となります)

国では、今後5年間のうちに一度も水張り(水稲作付)を行わない農地について、水田機能を有していても交付対象水田から除外する方針を示しています。
ブロックローテーションや田畑輪換に取り組むことで、生産性の向上につながるとともに、交付金対象水田として維持することができますので、まずはその取組をご検討ください。水張りが行われていない農地で、これらに取組むことが困難な場合、畑地化支援の活用をご検討下さい。

支援単価
  • 高収益作物(野菜、果樹等)の場合:175,000円/10a
  • 高収益作物以外(麦、大豆、飼料作物等)の場合:105,000円/10a
条件
  • 対象農地を交付対象水田から除外すること
  • 支援後に対象農地で5年以上、当該品目を作付すること
  • 支援を受ける農地がおおむね団地化されていると地域農業再生協議会が認めること

畑地化対象農地のみで団地化してもOK
3図1

おおむね団地化の要件

  • 対象となる団地の面積要件は、地域協議会が地域の実情や品目の特性を考慮して判断することが可能です
  • 農道や水路が介在し、農地が繋がっていなくても問題はありません
畑地化対象農地とAの要件もしくはBの要件を満たす周辺農地を含めて団地化してもOK
3図2

Aの要件

  • 過去4年以上連続して水稲以外の作物が作付けされている
  • 申請年度においても水稲以外の作物の作付けが予定されている

Bの要件

  • 前年度までに当該取組の対象となった農地である

麦・大豆や高収益作物の導入にあたって受けられる補助事業

機械・施設等を導入したい

強い農業づくり総合支援交付金(国)

産地生産基盤パワーアップ事業(国)

農地利用効率化等支援交付金(国)

儲かる産地支援事業(県)

生産拡大、新しい産地をつくりたい

時代を拓く園芸産地づくり支援事業(国)

  • 栽培技術の実証、機械等のリース導入を支援
  • 加工・業務用野菜の作柄安定技術の導入等を支援

耕作条件を改善したい、基盤整備を行いたい

農業競争力強化農地整備事業(国)

水田畑地化推進事業(県)

  • 畑地化・汎用化のための基盤整備等

農地耕作条件改善事業(国)

  • 基盤整備、高収益作物への転換を支援
問い合わせ先

お住まいの市町村の農政関係課、所轄の県農林事務所にお問い合わせください