人口減少や高齢化、食や生活様式の多様化が進展する中、主食用米の需要量は減少していくと見込まれています。本県では水田における農業経営の安定のため、国が策定する米穀の需給見通し等を基に生産数量目標に相当する数値(以下、「目安」という。)を設定し、その達成に向けて取り組んできました。
令和7年産においては、前年の夏季高温の影響による精米歩留まりの低下、訪日外国人による米の需要量増加等に起因した主食用米の不足が発生し、米価が著しく高騰しました。このため、国では、緊急的に備蓄米の放出等の対応を行ったところであります。また、本県を始め、全国的に飼料用米等から主食用米への回帰が大幅に進んだ結果、令和8年の6月期末在庫量は200万トンを超えると見込まれ、今後の米価は不透明な情勢となっています。
さらに、国際情勢の不安定化による生産資材価格の高止まり、令和9年からの水田政策の見直しなど、水田農業経営を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。
こうした状況の中、中長期的な視点に立って、本県水田農業の発展と水田経営の安定化を図るため、関係機関が連携し、県一体となった取組を推進していきます。令和8年産についても、地域農業再生協議会の要望を踏まえ、目安を設定して通知することとし、消費者に米を安定的に供給できるよう、主食用米の需要に応じた生産に取り組みます。需給緩和に備えて、定着性が高く今後も需要が見込まれる麦や大豆、野菜等の高収益作物への転換の取組も継続していきます。輸出用米等の新規需要米等については、産地化を見据えた取組を推進していきます。
需要に応じた生産の必要性および支援制度の周知
全国および県内における米をめぐる状況や需要に応じた生産の必要性、国等の支援制度について、生産者の経営形態や規模に関わらず生産者全てに対し、作付前の周知を重点的に実施します。
- 飼料用米等の新規需要米や麦、大豆、野菜等の取組者に対する作付意向確認
- 水田農業の担い手(認定農業者、集落営農、認定新規就農者)への周知
- チラシやマスコミ、広報誌、ホームページ、SNS等を活用した広報活動
- 説明会、研修会、検討会等あらゆる機会における周知
- JAや集荷業者、農産物検査機関、農業委員、農地利用最適化推進委員等、農家に直接対応する者への周知・働きかけ
地域の実態と市場動向等を踏まえた「水田収益力強化ビジョン」の策定と実現
ほ場条件等の生産環境や担い手の状況など、地域の実態や課題、土地改良事業との連携による圃場整備と一体的な作付転換、品目ごとの需給見通しや産地での販売戦略等を踏まえ、水田農業の高収益化を図るために「何を(品目)どれだけ(作付規模)生産していくのか」等を記した、「水田収益力強化ビジョン」を策定し、そのビジョンの実現に向けて、関係者一丸となって取り組みます。
- 早急に品目ごとの現状と課題を整理し、令和8年産の作付計画を作成
- 中長期的な視点から、水田農業における目指すべき将来像を検討
- 地域段階においても上記に基づいた、ビジョンが策定されるよう支援
品目別の方向性について
主食用米
消費者への安定供給のため、需要に応じた生産を推進します。酒造好適米については、国・県の支援制度を活用した実需者への安定供給に向けた取組を推進します。
飼料用米
実需者への安定供給のため、多収品種の導入や品種特性にあった栽培管理の徹底等によって収量向上など生産性を高めます。なお、令和9年産に向けては、需要に応じた多収品種の種子確保を進めていきます。
輸出用米
実需者が求める品質・価格帯に対応した生産を推進するとともに、輸出に取り組む事業者や県内の輸出米協議会と連携して取組拡大を推進します。
米粉用米
ニーズに合った加工適性の高い専用品種での取組拡大を推進することで、既存取引先との連携強化を図るとともに、新たな販売先を開拓します。
加工用米
実需者との結びつきに基づいた取組拡大を推進します。
麦、大豆、そば、飼料作物
実需者が求める品目・品種の生産と品質の確保、取組拡大を推進するとともに、地域の実情や品目の特性に合わせて、畑地化や連作障害回避に有効なブロックローテーション・田畑輪換等の検討を促していきます。
野菜、花き、果樹等の高収益作物
ほ場条件や担い手の状況等、地域の特性や実情に応じて、水田農業高収益化推進計画の作成や畑地化を前向きに検討しつつ、需要がある品目の取組拡大を推進します。
子実用とうもろこし
麦、大豆を作付する経営体の輪作作物としての導入を推進するとともに、畜産部門との連携により実需者との結びつきを強化していきます。
生産性向上等による水田経営安定化に向けた取組の推進
転換品目の定着および本作化のため、収量・品質の向上技術、高温耐性品種やコスト低減技術の導入、規模拡大による効率化、土づくりなどにより生産性を向上し、所得の増加を図ります。
- 新規需要米や加工用米については、栽培環境や需要に合った多収品種等の導入や、品種特性、生育に応じた適切な肥培管理、病害虫防除による収量・品質の向上と安定生産を推進します。
さらに、流し込み施肥や直は栽培、高密度播種育苗などコスト低減技術の導入とともに、早晩性の異なる品種導入による作期分散を推進します。 - 新規需要米や麦、大豆、露地野菜などの土地利用型作物については、土地改良事業の活用や、農地中間管理事業を活用した農地の集積・集約化による規模拡大と生産性の向上を推進します。
- 加工用米及び輸出用米、麦、大豆、高収益作物(加工・業務用)、子実用とうもろこしなど、国のコメ新市場開拓等促進事業もしくは畑作物産地形成促進事業の対象作物については、事業を活用した低コスト生産の取組を推進します。
- 緑肥など地力増進作物の作付等による土づくりを推進します。
関連ファイル
令和8年度経営所得安定対策等の推進における対象品目ごとの主な取組と目標について
需要に応じた米の生産・販売の推進に関する要領・要綱
- 需要に応じた米の生産・販売の推進に関する要領
など、需要に応じた米の生産・販売の推進に関する要領・要綱は、農林水産省のホームページからダウンロードできます。