
令和7年産米は白未熟粒だけでなく着色粒による被害も大きい
- 7月中旬以降、白未熟粒が増加しやすい日平均気温27°C以上の高温が続いた。
- 斑点米カメムシ類の発生状況(7月上旬)は、過去11年間で2番目に多かった。
7〜8月の平均気温の推移(水戸市)
平均気温は水戸地方気象台のアメダスデータを用いた。
7月上旬の斑点米カメムシ類の発生状況
茨城県病害虫防除所「病害虫発生予察注意報第1号」(令和7年7月10日公表)より改変して掲載。
平年は平成27年〜令和6年までの10年間の平均値。
- くさび米、やけ米、斑点米などの着色粒の発生が特に多かった。
- 高温による白未熟粒の発生も去年に引き続き多い状況。
着色粒
くさび米
- 登熟初期の高温
- 水ストレス
やけ米
- 刈り遅れ
- 高水分籾の収穫
斑点米
- 斑点米カメムシ類の増加
- 防除時期のズレ
白未熟粒
- 籾数過剰・低日照
- 登熟期の高温
- 登熟期の窒素不足
令和8年度産米の1等米比率の向上に向けて
- 高温対策技術の実践と高温に強い品種の導入
- 斑点米カメムシ類の徹底防除

品種の組み合わせによる高温リスクの回避
- 早生・中生・晩生の品種を組み合わせた栽培計画の作成
- 新規需要米(飼育用米・米粉用米等)や高温耐性品種の作付け
早めの中干しで茎数を制御
- 田植え後30~40日を目安に実施
- 「コシヒカリ」では、茎数が18本/株程度になったら開始
- 中干しは5~10日程度を目安に田面に軽くヒビが入る程度に

出穂後は間断かんがいで白未熟粒の発生軽減
- 2湛1落(自然落水→田面が乾く前に入水)で根の活力維持
- 落水時期は「早生で出穂後25日~、中生で出穂後30日~」
適期収穫で胴割米抑制。籾の色で判断
- 収穫は緑色の籾の割合が5〜10%になったら開始
- 後半の作業が遅れる場合、全体の収穫を3日程度早めに開始
- 急激な高温での乾燥を避けて胴割米抑制
足元から改善。堆肥の施用と耕深の確保
- 牛ふん堆肥の施用(10aあたり乾田1t・湿田0.5t目安)
- 15cm以上の深耕で根張りをよくして白未熟粒を抑制
※「コシヒカリ」などの倒伏しやすい品種では減肥が必要になる場合もあります。

高温対策としての実肥のススメ
出穂期頃の葉色が淡いと予想される場合は、10aあたりチッソ1kg程度の実肥を行いましょう。
- 出穂期頃の葉色が淡くなりすぎると、白未熟粒などの発生を助長します。
- 低タンパクを目指した良食味米栽培や登熟期の一発肥料の肥効切れが、高温による品質の低下を助長している可能性があります。

農業総合センター農業研究所提供
茨城県の高温耐性品種
「一番星」「ふくまる」「にじのきらめき」の3品種は、「コシヒカリ」や「あきたこまち」よりも高温に強い品種です。
高温に強い品種でも、高温下では品質低下のリスクが高まるため、基本技術や高温対策技術を必ず実践し、1等米を目指しましょう。
一番星
| 熟期 | 早生の早 |
|---|---|
| 高温耐性 | やや強 |
| 田植日 | 5月7日 |
| 出穂期 | 7月17日 |
| 成熟期 | 8月24日 |
| 1等米比率 | 76.4% |
ふくまるSL
| 熟期 | 早生の晩 |
|---|---|
| 高温耐性 | 強 |
| 田植日 | 5月7日 |
| 出穂期 | 7月21日 |
| 成熟期 | 8月25日 |
| 1等米比率 | 80.0% |
にじのきらめき
| 熟期 | 中生 |
|---|---|
| 高温耐性 | やや強 |
| 田植日 | 5月7日 |
| 出穂期 | 7月28日 |
| 成熟期 | 9月11日 |
| 1等米比率 | 62.5% |
コシヒカリ
| 熟期 | 中生 |
|---|---|
| 高温耐性 | 中 |
| 田植日 | 5月7日 |
| 出穂期 | 7月28日 |
| 成熟期 | 9月5日 |
| 1等米比率 | 45.3% |
田植日、出穂期、成熟期は茨城県主要農作物等奨励品種特性表(令和7年度版)の水戸市のデータから作成。
1等米比率は農林水産省公表「米穀の農産物検査結果」から令和7年12月31日現在のデータを用いた。
斑点米カメムシ類の対策チェックリスト
- 出穂2週間前までの畦畔の草刈り
- 今年の発生情報の確認(茨城県病害虫防除所ホームページ)
※実際のほ場の発生状況も確認しましょう。 - 出穂期の防除(成虫防除) →【出穂期】全茎の40~50%が出穂した日
※高温による出穂時期の早まりや、周辺と出穂時期が異なる品種は、防除時期に注意。 - 出穂期後10~15日の追加防除(幼虫防除)
※発生が多い年は、必ず実施しましょう。


令和7年度 試験結果紹介
深耕による高温回避技術の確立(筑西市現地試験・「コシヒカリ」)
令和7年度 単年度試験結果(茨城県農業総合センター 農業研究所・全農委託試験)

- 深耕区の作土深18.7cm(スタブルカルチャ)、普通耕区の作土深12.6cm(ロータリー耕)
- 土壌:可給態窒素量、慣行区で20.6mg/100g、試験区で21.1mg/100gであり、両者ほぼ同等であった。
- 基肥:オール14、穂肥:尿素、実肥:NK-C6、粒状苦土:50kg/坪
- 穂肥は出穂前15日頃の7月11日に施用、実肥は出穂前3日頃の7月22日に施用
結果
- 5cm深い耕うんと、出穂前2日頃に窒素で1kg/10aの実肥を組み合わせることで、生育は旺盛となり、登熟期の葉色も維持された。
- 白未熟粒の減少によって、整粒歩合は普通耕区より17%増加。
- 穂数、千粒重の増加によって、収量は普通耕区より16%増加。
深耕初年目の注意点
土壌の窒素肥沃度が低い場合
生育に応じた追肥(時期・量)で調整する。
土壌の窒素肥沃度が高い場合
倒伏を防止するため、基肥を控えめにして追肥で調整する。
ご不明な点については、最寄りの農林事務所経営・普及部門、普及センター、JAにお問い合わせ下さい。