令和4年度 茨城県水田収益力強化ビジョン

地域の作物作付の現状、地域が抱える課題

本県は、畑作物の導入が困難な水田が多い中にあって、排水対策やブロックローテーションなどを推進して麦・大豆等の畑作物の定着を図るとともに、飼料用米を中心とした新規需要米等による転作を進めてきたところです。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う中食・外食需要は落ち込み、民間在庫量が増加したことで、令和3年産米のJA概算金や相対取引価格は大幅に下落しました。令和4年産においても、厳しい需給状況が続くことが見込まれていることから、需要に応じた生産を一層強力に進め、価格の安定により農家所得の確保を図ります。
また、農業者の減少と高齢化が進み、耕作放棄地が増加する中で、農地集積・集約化による規模拡大及びコスト低減を進め、担い手の経営強化を図る必要があります。

高収益作物の導入や転換作物等の付加価値の向上等による収益力強化に向けた産地としての取組方針・目標

本県では、これまで飼料用米を中心に主食用米からの転換を図り、令和3年産においては、新規需要米等の取組面積は過去最大となり、目安面積の乖離は概ね解消されました。
一方、排水不良の水田が多いことなどから麦、大豆、高収益作物など定着性・収益性の高い品目については、作付けは限定的となっています。
このような中、水田の収益力を強化し、儲かる農業を実現していくためには、県・市町村の関係部局が連携し、生産技術・機械等の導入支援や生産基盤の整備を行い、高収益作物の導入を図っていく必要があります。
具体的には、トマト、たまねぎ、キャベツ、ねぎなど中食・外食において需要が拡大している品目やレンコン、カンショ等、本県の全国シェアが高く、水稲から転換することにより所得の向上が期待できる品目を中心に、地域の特性や実情に応じて導入を図ります。また、米やかんしょについてはコロナ禍の鎮静化を見据え、輸出の取組を強化していきます。
また、子実用とうもろこしやWCS用稲などは畜産物生産に必要な飼料ですが、多くを輸入に頼っており、国産飼料へ転換することで、自給率の向上と生産される畜産物の安心・安全といった付加価値を高めることにつながることから、その導入および拡大を図ります。

畑地化を含めた水田の有効利用に向けた産地としての取組方針・目標

県内水田面積約10万haのうち4割については、主食用米の需要減により、需要のある非主食用米や他品目への転換が必要です。主食用米だけでは米価下落時の経営に与える影響が大きくなることから、需要が見込める品目を経営に取り入れることにより、水田農業の経営安定化を図っていきます。併せて、人・農地プランに位置付けられた地域の担い手への農地の集積、集約化を進めます。
転換を進めるにあたっては、将来にわたって連作障害を回避し、安定した収量を確保できるようブロックローテーションの構築を進めます。また、水田の利用状況の確認の結果、水稲作付を行わないで畑作物が栽培され、経営が効率化されている事例については、必要に応じ畑地化支援を活用し、令和5年度までに畑地化の拡大面積150haを目指します。
また、高品質安定生産技術の指導や、畑作物の流通・消費拡大に向けた助言等の支援を行うとともに、畑地化に向けた情報提供や、補助事業を活用した基盤整備の支援等により、畑作物の拡大及び定着を図ります。